【絵本レビュー】『あかんべノンタン』(キヨノ サチコ)
夫が大好きだったと言うノンタン。20数年前のノンタンシリーズが、物持ちの良い義実家から送られてきました。その中の一冊です。中は得体の知れないシミや謎の落書きでいっぱいですが、読む分には支障ありません。
ノンタンのことはもちろん知っていたのですが、大人になってから読んだのは初めてでした。ストーリーも覚えていないので、わくわくしながら息子とこの本を開きました。
あっかんべにはまったノンタンが、いろんな人にあっかんべをしてびっくりさせるストーリー。調子に乗ってどんどんエスカレートするのですが、最後には逆にあっかんべをされて逃げ帰ります。ここまでは勧善懲悪的でわかりやすいのですが、なんと最後のページで、一向に反省していないノンタンの姿が確認できるのです。
最後まで読んでオチに困惑している私をよそに、マロはたった一回の読み聞かせで「あっかんべ!」という言葉とポーズを覚えてしまいました。『あかんべノンタン』の表紙をみただけで「あっかんべ!」と言います。アンパンマンに匹敵するほどの、ノンタンの恐ろしいまでの訴求力を目の当たりにしました。夫の血なのか息子もノンタンが好きそうなので、ストーリーに疑問は残るものの他のシリーズも買ってみようと思います。
ところで、ノンタンのことを調べていたところ、手持ちのノンタンの本と作者名が変わっていることに気がつきました。そもそもは夫婦共同名義だったのが、離婚してノンタンの著作権をめぐる泥沼裁判にもつれ込んでいたようです。(ノンタン絵本裁判) 結局妻側が勝ち、判決後に刷られたものは妻の単独名義になっているようでした。
子どもに愛されるノンタンのあかんべの裏には、大人の骨肉の争いがあったようです。